高い精度のレシート商品特定システムを通じて、メーカーや流通業の商品開発・マーケティング支援を実現
リアルDX推進部
1課 マネジャー 橋場 仁さん(写真左)
1課 マネジャー 綱島 章恵さん(写真中)
1課 高橋 怜央さん(写真右)
商品開発やマーケティングに活用できる「IDレシートBIツール」サービスをメーカーや流通業などのクライアントに提供しているフェリカネットワークス株式会社。レシート商品特定システム「レシデータ」におけるアイエスピーとのパートナーシップと、それを活用したサービスの強みについて、詳しくお話を伺いました。
フェリカネットワークス様についてご紹介ください。
綱島さん:当社は、ソニー、NTTドコモ、JR東日本の合弁企業で、非接触ICカード技術「モバイルFeliCa ICチップ」のライセンス事業と、キャッシュレス決済や、デジタル会員証、交通IC乗車券など、さまざまなサービスをスマホなどの端末で利用できるプラットフォームの提供をメインに事業を行っています。その中のデジタルマーケティングプラットフォームのひとつとして、レシート情報を活用したマーケティング分析や、レシートを利用したキャンペーンの実施と効果測定を行うことのできるプラットフォームサービスをご提供しています。
現在の事業の立ち上げとアイエスピーとの取り組みのきっかけについて教えてください。
橋場さん:レシートから得られる生活者の購買データに、商品開発やマーケティングにおける高い価値があるのではないか、という仮説のもと現在の事業をスタートさせました。レシートデータを使った事業構想はあったものの、その時点ではそれを実現するための仕組みがない状態でした。そこでマーケティングで活用できる形にデータを符号化する仕組みの検討にあたり、レシートからの商品特定に取り組まれていたアイエスピーさんとのパートナーシップが始まりました。
どのように「レシデータ」を活用されているか教えてください。
橋場さん:アイエスピーさんとは、この事業の立ち上げから協力関係を築かせていただいており、レシートデータの商品特定の仕組み、データ項目の検討、データ精度の向上など、二人三脚で改良を繰り返しながら進めてきました。当社が保有している生活者のレシート購買データ「IDレシート」を基に、この商品特定システム「レシデータ」を活用してサービス化しているのが、現在当社で提供しているデジタルマーケティングプラットフォーム「IDレシートBIツール」です。
貴社の「IDレシートBIツール」はどのようなサービスですか?
橋場さん:現在のメーカーにおける商品開発や流通商談には、エビデンスが求められるケースが多く、社内外に提案する時、あるいは意思決定する時には、購買層の年代、購入場所、嗜好などの詳細なデータとそれらの分析が必要になります。商品開発と意思決定を支えるエビデンスや判断材料を提供できることが、私たちのサービスの価値になっています。
当社のツールは、ブラウザ上で検索するように商品名を入れるだけで、その商品の購買層の属性、同時に購入される商品例などのデータが簡単に検索できて、商品や関連カテゴリーの多角的な分析ができます。
主な顧客は食品メーカー、コンビニ・スーパーなどの流通・小売業、卸売業などが中心となっています。
我々は購買データの分野では後発のサービスなのですが、その分既存の購買データを利用されている顧客の困り事やニーズを反映することできめ細かいサービスが支持されています。
綱島さん:「IDレシートBIツール」は、スーパー、コンビニ、ドラッグなどの業態や、様々な商品カテゴリーの購買を横断で見られる点が特徴です。個別商品や店舗なども分かるので、顧客のマーケティング担当者からは「こんな細かいデータも見られるの?」と驚かれることも多いです。食品メーカーさんの営業や開発の現場では、例えば各コンビニチェーンの購買データが必要となることがありますが、実際はかなり入手困難なデータです。そのようなデータをチェーンの垣根を越えて得られることが魅力になっています。
実際コンビニでの購入の4割は、お弁当や惣菜、カウンターフードやデザートなどのJANコードがついていない商品なのですが、それらの商品までもカバーしていることが当社のツールの強みにもなっています。
「IDレシートBIツール」は、どのような企業に活用いただいていますか?
橋場さん:例えば当社のお客様であるローソンさんでは、自社商品や競合商品の分析にタイムリーにご活用いただいています。他にはコンビニさんに商品提案をする食品メーカーさんや、麺や調味料などを提供する原材料メーカーさんなどにも重宝されています。
綱島さん:皆さん自社商品のデータはあっても、他社やPBのデータがない、または入手しにくいというケースも多いのでそれらのデータも分析できることが魅力になっているようです。原材料メーカーさんの事例では、従来の商談では価格勝負になりがちなところを、市場分析とともに提案できることで自社商品の価値向上にも繋がっているケースもあります。
橋場さん:取引先からの口コミで当社のサービスを知り、問い合わせいただくことも増えています。コンビニさんから、IDレシートを使った他社さんの提案書を引き合いに、こんな提案をしてほしい、と言われることもあるようです。また、スーパーでも自社のPB商品の開発に活用いただいています。
導入企業からはどのような反響がありますか?
綱島さん:データというエビデンスに基づいた提案ができるようになったことで、日々の商談がスムーズに進むようになった、とのお声をいただいています。
また、世の中にどのような商品があり、誰が購入しているのか、が分かるので、今までにない新しい市場を形成するような商品開発に役立てられている事例もあります。どんな生活をしているのか、購買行動を深掘りしていくことで、顧客の解像度を上げることができるため、次のアクションにつながる仮説立案にも一役買っています。
橋場さん:最近はそのようなN=1の顧客分析に関するお問い合わせが増えています。N=1を見るにあたり、膨大なデータを絞り込んでいくことになるのですが、「レシデータ」を通して商品やカテゴリーなどの符号がついているため、様々な切り口から顧客を深く分析することができます。
サービスの強みはどのようなことですか?
綱島さん:私たちは直接顧客との接点を持ってサポートをしているので「こんな分析がしたい」「こういうデータが欲しい」といったリアルなお声を伺うことができ、これらをツールの開発・改良に活かすことができます。効果的な分析が簡単にできることで、マーケティング担当者の業務時間短縮にも繋がっています。
高橋さん:顧客が求めるデータの粒度もそれぞれです。商品別、カテゴリー別、またはカテゴリーで見てから商品別を見たい、商品を調べてから俯瞰してカテゴリーを見たいなど、様々なニーズに応えられるようサービス開発に取り組んでいます。
橋場さん:導入企業さんからも「これがないと困るから、絶対に続けてね」と言われるまでのサービスになっていることが嬉しいですね。
アイエスピーとの日頃の取り組みについて教えてください。
高橋さん:アイエスピーさんとは立ち上げ時から現在に至るまで、データ精度や内容の向上のために、頻繁にディスカッションを行っています。「レシデータ」のマスターデータの精度が私たちのサービスにとっての必須条件なので、日頃から密にコミュニケーションをとっています。当社のお客様からリクエストをいただくことも多々ありまして、そのような場面ではアイエスピーさんとの連携が不可欠です。
コンビニ業界で毎週200品以上の新商品が発売されている中で、新商品のマスターデータを毎週更新していただいているのがとても有難いです。
リテールの現場ではレシート上の商品名は変わらないのに、パッケージや味が少しだけ変わっているといった商品も多々あります。アイエスピーさんはそれらのデータも実際にコンビニまで商品確認に行って下さって、実地から得た情報を元に精細なマスターデータを作成いただいています。
当社からも、優先的にマスタ化すべき商品を判断しマスタ構築の効率化に役立つ情報を提供したり、実際のデータ利用顧客からのフィードバックを元に改善の提案を行ったりしています。
改善点や新たな要素の追加など、私たちからのご提案にも細やかにご対応いただいており、アイエスピーさんとの日頃からの密なやり取りがあるからこそ、細分化している顧客のニーズにも応えられる体制が整っていると思います。
今後の展望や目標を教えてください。
綱島さん:近いうちに当社のサービスが、レシートデータのデファクトスタンダードとして認められることを目指しています。そのためにも競合にはない正確なレシートデータを整えていきたいです。
現在、後発のサービスながら名だたる大手企業さんにも多く導入いただいています。当たり前に当社のサービスをマーケティングや商品開発で活用いただけるようになりたいですね。
橋場さん:実際にマーケティングの最前線にいるトップランナーと言われるような大手食品メーカーさんにもご利用いただいています。最近では競合のサービスと比較されても、最終的に当社を選択いただけるようになりました。ですが、レシートデータの認知度はまだまだです。これからも継続してレシートデータによるマーケティング活用を実践し普及させていければと思っています。
また、AIを活用して、トレンドの兆しを事前に感知するといったデータ分析サービスにより、商品開発やマーケティング担当者の作業をサポートしよりクリエイティブな業務に専念できるようなサービスの提供も目指していきます。
アイエスピーさんとは事業の立ち上げ時から長くお付き合いいただいていますが、これからもビジネスパートナーとして双方がWin-Winの関係を継続していきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いします!
貴重なお話をいただきありがとうございました。
- 「FeliCa」は、ソニーグループ株式会社またはその関連会社の登録商標または商標です。
- 「FeliCa」は、ソニー株式会社が開発した非接触ICカードの技術方式です。
- 「IDレシート」は、フェリカネットワークス株式会社の登録商標です。